著者のフィリップ・マグロー(Ph.D)氏は米国の訴訟コンサルタントで、1999年に著し、今をときめく経済評論家の勝間 和代氏が2001年当時、人生戦略に悩んでいたときに感化を受け、その後人生等について真剣に考えている周りの相談者へ推薦して来た本である。その後訳者として今年の9月に発行、11月には4刷という速さでベストセラー誌の一つとなっている。

この本の基調は、すべての根幹は自分自身にある。自分の考えや行動が自分自身を幸福にするし、不幸にもする。すべての責任は自分自身にあり、自分自身の生き様の戦略を考えている人は失敗しないと書いてある。読んでいくと、目から鱗の表現等が随所に現れ思わず背中がピンと伸びてきているのにびっくりした。下記のような珠玉の言葉が出てきている。
-問題がひとりでに解決することは、絶対にない
-行動や考えを選ぶとき、結果も選んでいる
-感情は怖いものである、感情を引きずらないこと
-人生の責任は自分にある
-「自分が正しい」ということにこだわらない
-人生は、目的を持ってそして知識を持って管理しよう
-人を許すことで自分自身も解放される
この本の中で、著者が言わんとしていることや感じたことを少しあげてみたい。
人が戦略的に行動する基本指針:
人生戦略でまず必要なのは、相手を知ることである。人は、好意を持っている人を好み・信頼し、抱いた不安を相談したがり、相手の自尊心を傷つけず、拒絶されることを恐れ、受け入れられることを望みたがる。また、人は自分が理解できることだけに耳を傾け、たまに意味不明な行動をし、外面が良く、料簡の狭いものであるという共通事項も知って行動すればおのずから道は開ける。我々が相手を自分と同じ方向へ動かすには、心からその人を信頼し、尊敬し、よく相手の話を聞き、かつ心のうちにあるものを見いだして対処なくてはならないということであろう。
しかし、まだまだこれだけでは相手を理解できない。
これらの基本的な人の心理状況を踏まえて相手を理解していくには、次の8つのことを知っておくことが必要である。
1.人は、自分の人生で何を一番大事にしているか?論理・金・成功・力・思いやり、その他何であろうか?
2.人は、人生はどういうもので、どうあるべきかと期待し、そして信じているのか?
3.人は、何に反発し、どんな傾向(恐怖・偏見・先入観―――)があるのか?
4.人は、どんな姿勢・アプローチ・考え方に同意するのか、あるいは否定するのか?
5.人は、どういう言葉を聞いて人を信用するのか?
6何が適切か?
7.自分自身をどう思っているか?
8.人は、人生に一番望んでいるのは何か?
行動や考えを選ぶとき、結果も選んでいる:
いい選択をし、いい行動を取れば結果はよくなる。逆に、愚かな行動を選べば、厳しいマイナスの結果を呼ぶ、今問題になっている学生の大麻事件はその一例である。人は、自分の人生の中で他人と対話するよりも、四六時中自分自身と対話しかつ精神と行動と生理の面からプログラミングしている。そのプログラミングの中に判断することがある。
人は、-誰を信用するかを選ぶ、-誰と一緒になるかを選ぶ、-どんな行動をとるか選ぶ、
-何を言うか選ぶ、 -何に集中するか選ぶ、-いつ進むかを選ぶ等々、現実の生活の中では、常に選択し判断をしなければならない。その選択が大変重要で、その一つ一つが自分の経験を積み重ね、結果として現実を豊かにするか否かに繋がっている。
次に、人は悩みを持っているときにはマイナスの思考を取りがちである。例えば、-私にはそれだけの頭がない、-周りが自分より知識もあるし、面白い、-私は、立派じゃない・成功できない・あきらめる・流されて生きている等々である。これらのマイナス思考の独り言に陥っている状況ならば、行動の結果がお粗末になることはなんら不思議ではない。
あなたのゴールラインはどこか?:
自分の望みを突き止め、手に入れるための計画を立て、一生懸命頑張れば望みに近いものが手に入るかもしれない。どんな目標を設定するかはっきり特定する必要がある。つぎに、それに近づけるために準備をしなければならないと書いてある。
私は、人材のキャリアパスのコンサルテーションをしている。その点から皆さんのキャリアのゴールラインを考えてもらっている。キャリア形成は若いときから目標を作り、そこへ向かって邁進して行くのが理想であるが、わが国では自分のキャリア形成を考えている若者は数少ないし、教育制度もそんなに備わっていない。唯一上場会社等が、自社内でのキャリア形成のプログラムを持っているのみである。転職のために相談に来た優秀な20歳代、30歳前半の人材に、自分のこれからのキャリア形成をどう作っていくか等を私どもが手伝っている。
キャリア形成を次のようにコンサルテーションしている。まず、本人に明確なゴールを定めてもらい次に、今度はその将来の60歳から65歳前後のゴール地点から逆に、現在までを俯瞰してもらっている。そうです、将来の成功地点から現在の小さな自分を振り返ってもらい、その間の50歳代、40歳代、30歳代にやらなければならないことを埋めてもらっている。その内容は、業務上のことはもちろん、対人関係、家庭、趣味、ボランティア活動と様々である。
本誌の人生の法則5の人生は行動に報いるという章に、必要性が高い行動を書き入れる表がある。その内容は私どものキャリア形成とほとんど同じである。そこには、仕事面、対人関係面、家庭面、個人面、精神面で行動が必要なことを書き入れ、今後の参考のために記録しておくようにしている。この表を作成することによって、自分自身と本当に向き合い、重要な仕事に取り組んでいける。
人生の最終的な栄光を手に入れるために目標を設定し、それに向かって各年代別の小目標をクリアしつつ次の年次に向かっていくうちに、行動の素晴らしさの中に、知識、経験を重ね、小ゴールを達成し、満足感、喜びが生まれて来る。その延長上に目標のゴールラインが見えてくるのは間違いない。
最後に:
同誌は430ページの厚い本であるが正直、平易な表現で著され読みやすい本である。しかも、いろいろと悩んでいる人にとっては回答や方向性が得られ、そして、力づけられる内容となっている。しかし、そうでない方でもこの本の内容を事前に理解し、把握しておくと自分のこれから生きていく方向性や万が一にもあるかもしれない危機管理への対処法として役立つのではないでしょうか。
しかし、一言付け加えると第10章「憎しみはあなたの心を変えてしまう」の内容は、人を許すことで自分自身も解放されるということで、期待して読んだがあまりわからなかった。例文にある狂気に近い憎しみを持っている被害者達がどうやって開放されたかは、業務上の秘密なのかあまり明らかにされていない。
以上
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